ストリートカルチャーから生まれたブレイキン。
魅力あふれる歴史や文化をディグ(探求)します!

ブレイキンカルチャーとその歴史

その成り立ちやカルチャーに、他のダンスやスポーツとは異なる独自性を持つブレイキン。
起源から世界中に広まるまでの経緯、そして切っては切れないヒップホップカルチャーとの関連性を紹介。

ブレイキンの発祥

ブレイキンは、1970年代初頭のニューヨークが発祥と言われています。当時のニューヨークでは「ブロックパーティー」と呼ばれる野外での音楽パーティーが開かれていました。そこで、DJが流す音楽に合わせて踊る「ブレイキン」が誕生!この頃、ニューヨークの貧困地帯では犯罪が多発し、ギャングの抗争も激化していましたが、有力なギャングでもあった1人のDJが、「殺し合いじゃなくて、非暴力の表現方法で解決しよう」と呼びかけました。そうして、争いを平和的に解決しようと、バトル形式のブレイキンが確立されていったのです。

ブレイキンが世界的な人気を獲得

1980年代にはブレイキンをテーマにした映画なども数多く制作され、若者を中心に一大ブームに。テレビなどのメディアでも取り上げられ、ブレイキンがニューヨーク全体、そして世界中に、瞬く間に広がっていったのです。日本でも、テレビのバラエティ番組にブレイキン映画のクルーが出演したり、人気歌手が自身の楽曲でブレイキンを踊ったりして、急速に浸透していきました。

ブレイキンの大規模な世界大会が開かれる

1980年代終盤から1990年代初頭にかけては、世界的なブームが終息し、ブレイキン人気も下火になります。一方で、1990年にはブレイキンの大規模な世界大会「Battle of the Year(BOTY)」がドイツで初開催されるなど、競技レベルが向上。日本でも2000年からBOTYの国内予選がスタートするなど、ブレイキン界隈全体が再び活気づいていきました。次第に芸能人がブレイキンを披露するテレビ番組やCMなどメディアで取り上げられる機会も増え、「一度ブームが終わったもの」から1つのダンスカルチャーとしてブレイキンの立ち位置が確立されていったのです。

スポーツ競技としても注目のブレイキン

ストリートから始まったブレイキンですが、近年は若年層に人気のアーバンスポーツ・競技としても注目を集めています。2024年の世界最大のスポーツの祭典でも、競技種目として採用されました。

ブレイキンとブレイクダンスの違いとは?

「ブレイキン」は、日本では「ブレイクダンス」という呼称でも親しまれていますが、これは和製英語。マスメディアなどで「ブレイクダンス」と紹介されたことから、広く使われるようになったワードです。ちなみに、ブレイキンを踊る人のことを「ブレイクダンサー」と呼ぶこともありますが、ブレイキン界隈では、少し前は「ブレイカー」、現在は「B-BOY/B-GIRL(ビーボーイ/ビーガール)」という呼称が主流になっています。

ブレイキンとヒップホップカルチャー

ブレイキンはヒップホップの4大要素(4 ELEMENTs)の1つと言われています。
そのほかの3つはDJ、MC、グラフィティ。それぞれのカルチャーとのつながりを見ていきましょう!

ブレイキンとDJは表裏一体。元々、「ブロックパーティー」でDJが音楽を流した時に、「ドラムブレイク」という歌が入っていない間奏部分でダンスが盛り上がったことから、ダンサーが長く踊れるように、DJが2枚のレコードをつないで、ブレイク部分を繰り返す「ブレイクビーツ」が発明されました。「ブレイクビーツ」に合わせて踊ることから、「ブレイキン」と呼ぶようになったという説もあります。
現在の競技においても、DJが果たす役割は大きく、その選曲がバトルの結果に影響することも。

現在は「MC=ラッパー」というイメージもありますが、元々MCはパーティーの進行役のこと。
MCはリズムに合わせたり、韻を踏んだり、言葉を巧みに操ったりして、DJやブレイカーと共に、パーティーを盛り上げる大事な役を担っていました。
現在のブレイキンの競技でも、バトルを進行し、会場を盛り上げる欠かせない存在です。

グラフィティとは、スプレーなどを使って公共の場に描かれる絵や文字のこと。そのルーツには諸説ありますが、ブレイキン誕生と同じ1970年代頃のニューヨークで大きく発展を遂げました。 グラフィティは当初、「落書き」として社会問題になっていましたが、ブレイキンをはじめとするヒップホップカルチャーの世界的人気の高まりと共に、次第に「アート」としても評価されるように。
現在では、ヒップホップカルチャーを象徴するものとして、ブレイキンのステージにグラフィティが描かれることもあります。ちなみにグラフィティを描く人のことは、「ライター」と呼びます。

注目度の高まるブレイキン

貧困地域の若者が生み出した
カルチャーから、
大規模なスポーツの
国際大会で競技種目に採用されるなど、
広がりを見せるブレイキン。
これからの動向にも要注目です!