とあるブレイカーは、パワームーブの練習中にうっかり足で部屋の壁を壊してしまったことがあるそう。もしかすると、壁よりも硬い鉄板を割ることができたりするのでは…? パワームーブのトリック中の足が引き起こす衝突エネルギーが、どれくらい硬いものまで壊せるのかを計算していきます。
ブレイカーの足先が生み出すエネルギーはボクサー級!?
運動エネルギーは「重さ×速さの2乗」を2で割ることで計算できます。また、回転の速さを求める計算式は「円周率×直径×回転数」。そこで、体重56kg、身長166cmのブレイカーが1秒あたり2.5回転でヘッドスピンなどのパワームーブをしたと仮定してみましょう! 足を広げた体の中心軸から足までの距離は約72cmとなり、周速度は11.30m/s。おおよその片足の重さは10kgなので、合計のエネルギーは1/2×10×(11.30m/s)²=638Jということになります。これは、ボクサーが放つ強めのパンチを超えるエネルギーがあるといえそうです! では、このエネルギーを「パワー」として考えてみましょう。足が何かしらの対象物に0.05秒で力を伝えきる(キックする)とすると、合計のパワーは638J÷0.05秒=12,760Wとなります。
トリックで1mmの厚みの鉄板に穴をあけることはできる?
家電や鉄製の棚などに使われる1mmの厚さの鉄板に直径4cmほどの穴をあける場合に必要な衝撃力は、44,100Nとなります。同じ速度(11.30m/s)で蹴り出す場合、必要なパワーはなんと498,330W! つまり、鉄板にキックで穴を開けるためには、秒間15回転(扇風機と同程度)で回るか、体重が2,000kg(ゾウと同程度)の人が同じ速さで回れば実現できます。かなり難しそう…。
しかし2cmの厚みの瓦であれば12,760Wのキックが繰り出せるブレイカーだと瓦30枚くらいは割ることができそうです! やはりブレイカーの足のパワーはすごいですね!
- 数値や分析はあくまで仮説に基づくものであり、現実の値とは異なる可能性があります。